旅人にキャリアの質問「旅を仕事にしたい、どうすれば良い?」他11問

  • 2020.04.28

キャリアについて悩んでいる旅行好きの会社員「旅を仕事にする、という言葉に最近すごく惹かれます。職場は楽しいですが、このままずっとサラリーマンとして働くかどうかは分かりません。就職活動の時はちゃんと理由があって今の会社を選びましたが、もう一度フラットな目線でこれからのキャリアについて考えたいと思うので、旅を仕事にしている人に色々と聞きたいです」

という相談に応えます。僕のキャリアは、2011年に旅を広める会社「TABIPPO」を立ち上げてから7年、2014年にはTABIPPOを株式会社にし、その間に32カ国を旅して、世界二周目やアメリカ横断もしてきました。

「旅を仕事にする」というテーマでイベントやラジオなどにも出演させていただいているので、これまで旅とキャリアについてよく聞かれる質問に答えていきます。

 

プロフィールとこれまでどんなことをしてきたのか教えてください

プロフィール

前田塁のプロフィール

1987年、大阪府生まれ。大学時にニューヨーク留学、世界一周を経験。新卒で大阪ガス入社後、オプトを経て、TABIPPOで起業しました。現在は、月間200万人が利用する旅行メディア「TABIPPO.NET」の編集長やFMラジオ「FUTURES」パーソナリティー、世田谷の旅人シェアハウス「#えいとびたー」など。これまでに51ヶ国120都市を訪問、世界二周して、次の夢は宇宙飛行士です。

 

これまでしてきたこと

新卒で入社した大阪ガスでは、デパートやホテル向けにガス設備の営業をしていました。オプトではソーシャルメディアを使ったマーケティング事業のコンサル、広告営業、広告運用を担当していました。TABIPPOでは若者向けの旅行メディア「TABIPPO.NET」の編集長して、メディアの戦略決定、企画や特集作り、記事の執筆などをしています。他に、月1でFMラジオ「FUTURES」のパーソナリティをしています。

 

就職先・仕事を決めてきた基準は?

就職先・仕事を決めてきた基準は?

大阪ガスへ就職を決めた理由は、海外(特にニューヨークで)勤務できることと、自分のような人がいなさそうな会社であるけど、前向きに新しいチャレンジをする姿勢があるという3点でした。

きっかけはボストンキャリアフォーラムという海外留学生向けの就職イベントに大阪ガスが出展していたことから、興味を持ちました。当時はニューヨーク留学中だったので、調べてみると留学先の最寄駅に大阪ガスの支社があったので運命を感じて、ガス会社なのに海外勤務?海外採用?というユニークさが気に入りました。同業界である東京ガスや関西電力は出展していなかったので、やはり変わった会社ではあったようです。

二社目であるインターネット系の広告代理店オプトへ転職を決めた理由は、信頼できる友達の誘いであったこと、即戦力としてバリバリ働けること、自分のような人がたくさんいそうな会社であることの3点です。

TABIPPOを今も一緒にやっている社長のしみなおから深夜の電話でオプトへの転職を誘われて、試しに面接を受けてみたら採用を担当していた本部長と意気投合。大阪ガスでの反省が、終身雇用を前提に長ーいキャリアプランが引かれているため、早くとも30代にならないとバリバリ働けないことと、あまりに自分に似た人がいなすぎて友達ができなかったことでした。

オプトはWeb系広告代理店と、大阪ガスの真逆、最先端で若くてイケイケな業界だったので、極端から極端に転職するのも面白いかと思って決断しました。なお、オプトの人事部から「本当に大阪ガスから転職して大丈夫ですか?もったいなくないですか?」と何度も念を押されました。

 

旅を続けるなら、フリーランスと会社員どっちが良いと思う?

旅を続けるなら、フリーランスと会社員どっちが良いと思う?

旅を続けるというのが、短期的な目標ならフリーランスだけど、長期的であれば会社員の方がいいんじゃないかなと最近は思っています。以前は、単純にフリーランスがいいかな?という印象でした。

理由としては、フリーランスの場合は会社員に比べて手取りが多く、休みが自由に決められるというメリットがあります。しかし、デメリットとしては病気になった時の保障がない、常に技術をアップデートし続けなければならないです。

何が言いたいかというと、フリーランスを生涯続けられればかなりお得なのですが、途中でしんどくなるタイミングがくるんじゃないかなということです。どうしても20代のうちにたくさん海外旅行をしたい!というのであればフリーランスですが、人生を通して海外旅行を続けたいのであれば会社員として勤めながら、会社や仲間に仕事上は支えられ、少しずつ旅をするのもありですよね。

 

会社員を続けながら、旅も続けたい、アドバイスは?

会社員を続けながら、旅も続けたい、アドバイスは?

旅行のために有給を取ったり、連絡がつかなくなることをポジティブに捉えて、自信を持って旅を続けることが大切です。簡単に言うと、会社内で旅キャラになることです。堂々とスケジュールを確保し、仕事をバッチリこなして、クライアントとの雑談でも旅行の話をすると、喜んでもらえます。

僕の場合は、旅キャラが進んで旅行業界全般を担当する機会をもらって、社内では旅好きメンバーの飲み会も開催していました。一度旅キャラになってしまえば「次はどこ行くの?」「◯◯どうだった?」と旅行を続けるのが当たり前になります。

 

旅人が仕事を探すのにオススメのWebサービスは?

旅人が仕事を探すのにオススメのWebサービスは?

タイプの違ういくつかの就職支援サービスを並行して使うのが効率的です。聞かれて進めているのは、下記の3つで、特徴もまとめたので、気になるものは詳細をご覧ください。

旅人採用 / 旅行好き向けの正社員情報をエージェントが紹介する
リクナビNEXT / リクルートが運営する超大手就職情報サイト
SAGOJO / 旅行先でコンテンツを作って報酬をもらう

視野が狭まり、情報不足のまま就職・転職先を決めてしまうのがもったいないので、1ヶ月-2ヶ月程度は集中して情報収集の期間に当てて、様々な検討を踏まえて決断すると後悔がなくなります。

 

フリーランスで旅を仕事にしたい、どうすれば良い?

フリーランスで旅を仕事にしたい、どうすれば良い?

いきなりフリーランスになるのではなく、会社勤めを続けながらフリーランスとして取り組んでみたい仕事に挑戦して、少し成果が出たところで一気に切り替える進め方が良いです。多くの人はフリーランスをはじめてから気づくことなのですが、毎月決まった金額の給与が振り込まれるのって実は精神的に大きな支えになっています。

明日、来月暮らしていけるのかも分からないような収支の状況だと、フリーランスとして目指していた旅と仕事の両立に目を向ける余裕も無くなるので、まずは並行して進めてみてください。

 

旅を仕事にして得たものって何?どんなことが楽しい?

旅を仕事にして得たものって何?どんなことが楽しい?

まとまった時間が取れなくて諦めていたことを実現できるようになるのが楽しいです。例えば、アメリカ横断やワールドカップ観戦、エンジニア留学などは旅を仕事にしてからできるようになったことです。

他には、旅行に関する自由度が広がりました。まず初めに自分の旅行スケジュールを決めて、そのスケジュール内で現地集合できる友達を探すという形で、基本はひとり旅、時々ふたり旅なスタイルを取ることが多くなりました。

 

旅を仕事にして失うものって何?どんなことが大変?

旅を仕事にして失うものって何?どんなことが大変?

これまで趣味だった旅が仕事になると、とても自由でリラックスだった旅は無くなりました。仕事だけではなくプライベートで行く旅行もありますが、それでも「あ、この写真撮っておこうかな」「せっかくだしブログに記事書こうかな」とどこか仕事を意識した旅になります。

また、旅をすることが日常になっていると、文化や食事、天気や時差などが違う国々を移動しながら仕事をしていくので、日本のオフィスで進めていた時よりも環境が厳しくなります。ただ、旅を言い訳にはできないので、時には悔しい思いをしながら締め切りに追われたりも。

総合的には、旅を仕事にして失うものより得るものが多かったですが、たまにすごくキツイです。そんな時に、相談できる人が身近にはいないのも、困ります。

 

独断と偏見で、旅行好きにオススメの会社や業界は?

独断と偏見で、旅行好きにオススメの会社や業界は?

僕自身の経験から、独立や副業、起業を少しでも考えているならWebマーケティング・Web広告業界がオススメです。具体的な社名だと、オプト、サイバーエージェントなどの広告代理店です。選ぶ広告代理店の規模としては、自社サービスや新規事業に挑戦できる機会があった方が学びが多いので、できれば大企業です。

大企業となると、年功序列やガチガチの社内規則などが心配だと思いますが、インターネット業界に関してはそもそも社長が50代、上司が30代なのが当たり前なので、いわゆる大企業病は発生していません。今後も、技術発展が著しくて、若手のセンスや経験を頼りにする部分が多いので、それほど硬直化はしないと思っています。

 

旅と仕事の両立で尊敬している人、面白い人っている?どんな人?

旅と仕事の両立で尊敬している人、面白い人っている?どんな人?

副業ブームの中で、会社以外にも仕事を持っている人は旅人にもたくさんいますが、日本国内で完結していることが多いです。最近仲良くなった、まゆさんはフリーランスのWebエンジニアをしつつ、海外でWordpressというブログサービスのカンファレンスや勉強会を運営していて、海外・日本を関係なく仕事を動かしているのがとても面白いしかっこいいです。

僕も旅を仕事にと言いつつも、日本語を使って、日本国内の会社やサービスと仕事をしているだけなので、そろそろ旅だけじゃなく、仕事も海外展開していきます。

 

もし18歳に戻ったらどんなキャリアを歩む?

もし18歳に戻ったらどんなキャリアを歩む?

海外の理系大学に進学して、研究者や科学者になり、宇宙飛行士になりたいです。現在のキャリアの先にも宇宙に行くことを考えています。50年前の「世界一周」に関する費用や条件がちょうど現在の「宇宙旅行」と似ていて本当に選ばれしものか、相当なお金持ちしか世界一周はできませんでした。

50年が経って、150万円〜200万円くらいあれば世界一周ができるようになり、お金と時間さえあれば、他に特別な条件は必要ありません。宇宙旅行もこれから50年、30年以内には、一般の旅行者が当たり前のように宇宙を楽しむ時代が来る、と言われています。

TABIPPOでは、若者向けの海外旅行やバックパッカー旅行を中心に取り扱っていますが、ゆくゆくは宇宙旅行も仕事にしたいです。

 

これから10年、どんなことに挑戦したい?

これから10年、どんなことに挑戦したい?

1. 宇宙旅行を仕事にすること
2. 海外に住んで、海外企業と仕事をすること
3. 合計100カ国に訪れること

30代はこの3つに挑戦したいです。1と2を叶えるためには、アメリカかヨーロッパで宇宙産業が盛んな地域に移住しちゃうのが良さそうです。

今回の記事は以上です。なお、旅と仕事を両立させるための仕事選びも悩むし、情報が少ないと思うのですが、海外51ヶ国を旅行している間に出会った旅人たちの職業をまとめたので、参考になるはずです。

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