ライターとして活躍する松田 然(もゆる) さんの記事「30歳で会社員を辞めて、フリーランスに。当時の不安と、7年後の現実」が素敵な記事だったので、同じ視点で4年半前と現在の比較をしてみます。
給料も、人間関係も悪くないけど、今の会社でいいのか悩んでいる人:正直、恵まれている方だとは思う。会社の業績は安定していて、上司や先輩も良い人が多い。ただ、仕事はまったり進んでいるし、他の同年代と比べて成長をしているかと聞かれたら自信はない。転職や起業、独立なども考えているけど、みんなどうしてるの?
という方の参考に、27歳で上場一部のWeb系広告代理店(オプト)を辞めて、旅を広めるベンチャー企業「TABIPPO」を創業した時と、31歳の今を比較します。
記事の中身
・旅を広めるベンチャーを創業した3つのきっかけ
・広告代理店を辞めるときに心配したことと、現在
・当時の僕みたいな人にアドバイス
このような構成で過去(27歳)と現在(31歳)の比較を進めていきます。まずは、TABIPPOを創業したきっかけから。ちなみに、創業した(株式会社にした)のは2014年ですが、活動は2011年からスタートしていました。立ち上げメンバーは全員が学生だったので、学生団体として運営してました。
旅を広めるベンチャー「TABIPPO」を創業した3つのきっかけ
TABIPPOから2冊同時の商業出版
2013年に、今も一緒に書籍や雑貨を作っている「いろは出版」から声をかけてもらって、「僕らの人生を変えた世界一周」というエッセイと、「ウユニ塩湖 世界一の奇跡と呼ばれた絶景」というガイドブックの2冊を同時にリリースしました。
まさか僕らが本を出せるとは思っていなくて、とても反響があったことから好きなことを仕事にしても暮らしていけるかも?とワクワクし始めました。2冊ともしっかり売れて増刷をして、売り上げはTABIPPOの資本金になりました。
後輩たちの大活躍
僕がTABIPPOを立ち上げた2011年以降の2012年、2013年は現場は後輩たちに譲っていました。大阪ガスからオプトに転職して、Webマーケティング業界の荒波に揉まれていた頃です。
そんな中で、毎年1-2月に開催している若者向けの屋内イベント「Backpack FESTA 2014(旧 TABIPPO2014)」が開催されました。すでにイベントを離れて久しかったので、ほぼお客さんとして当日は参加しました。
2014年のイベントは立ち上げメンバーが「過去最高!」と絶賛するクオリティで、運営・PR共に申し分なかったです。でも、自分たちが関わっていなくてもイベントが開催される喜びと共に感じたのは、悔しさでした。
若者が旅する文化を作りたくて、TABIPPOをはじめて。これだけ規模が大きくなって愛される活動になったのに、なぜその中心に自分たちがいないんだろうと葛藤しながら、会社に向かったことを覚えています。仕事は忙しいけど充実していたし、成長も感じていた。
ただ、今の仕事は自分にしかできない仕事なのか?という疑問は持ち続けていました。
イケてる仲間たちと一緒に住んでいた
実は2012年から2017年まで、TABIPPOの創業メンバーである清水、小泉、前田は一緒に住んでました。男13人で恵比寿の一軒家でシェアハウス。13人中11人が世界一周経験者で、ベンチャーキャピタル、映像ディレクター、ブロガーなど色々な職業の仲間たちでした。
起業や渡米や独立など、当たり前のように夢を叶えていくシェアメイトたちに影響されていました。企業直前は、「もし、ダメだったらオプトの社長や友達に頭下げて、雇ってもらおうぜ」なんて軽口を叩いていました。今のところ頭は下げていませんが、もし何かあったらお願いします。
・商業出版に成功したこと
・後輩たちの活躍を見て、当事者でいられない悔しさを感じたこと
・仲間たちが夢を叶えているのを間近で見ていたこと
この3つがきっかけになって、2014年4月10日に学生団体TABIPPOを、株式会社TABIPPOとして登記し、第二創業しました。
広告代理店を辞めるときに心配したことと、現在
すぐ潰れるかも?→4年半続きました
TABIPPOが株式会社になってからも、心配することはありました。ベンチャーは3年で9割が倒産する、と言われている中で、TABIPPOだったらすぐ潰れる可能性も全然あるよな、って軽く冷めた感情で覚悟していましたが、なんと2018年10月現在で5年目です。
仕事あるかな?→100社以上と仕事しました
TABIPPOは僕らの趣味で始まったボランティア活動ですから、ビジネスになるのか?というのは大きな挑戦でした。出資を受けていないので、赤字=倒産の分かりやすい会社です。
観光庁に表彰されたり、企業とのタイアップをたくさんやってみて、分かったことはどうやら「若者が旅する文化を作る」ことは仕事になるようです。海外旅行好きの若者という文化(ビジネス的にはマーケット)を作ることが僕らのやりたいことで、どうやって旅行に行くか?どこに旅行に行くか?にはこだわっていません。
そのため、TABIPPOの活動はお金にならない(ビジネスとして成立しづらい)と起業前は言われましたが、理念に共感してくれる企業や、TABIPPOのメディアや商品、イベントを楽しんでくれるお客さんのおかげで仕事になっています。
過酷なのでは?→健康です
ベンチャー企業の立ち上げというと、過酷で寝れないイメージがあってビビっていたのですが、幸いなことに健康です。働く時間をコントロールできるようになったのがとても大きくて、体調が悪い時は早めに休む、体調が良い時は集中して働くと緩急をつけながら働いているので、ストレスがかなり減りました。
あと、フリーランスや個人事業主の方には特に共感してもらえると思うのですが、平日の役所や病院、映画などに行けると、同じ時間を休んでいたとしても、できることが多くなります。
今の会社でいいのか悩んでいる人にアドバイス
最後に、当時の僕のように「給料も、人間関係も悪くないけど、今の会社でいいのか悩んでいる」という人に向けてアドバイスです。総評としては転職や起業などの思い切った手段を取る手前にある、今の会社や仕事を客観的に見るための比較対象を作ることが大切です。
会社にも自分にも必要な、新しい技術を身につける
時間の使い方をちょっとだけ変えて、これまで必要だと気づいていたけど身についていなかった新しい技術を学んでみましょう。例えば、パワーポイントの資料がダサいなと感じていたら、デザインを勉強する。海外の事例を知っていれば、もっと企画が楽になるかな?と感じていたら、英語を勉強する。
自分の技術をアップデートすることで、会社や仕事の新しい側面を見つけて、ポジティブな印象を持つかもしれません。反対のことが起こることもあるでしょう。
ちなみに、インターネット関連の仕事をしているなら、エンジニアかマーケティングの技術を身につけることを実体験から強くオススメします。
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自分で仕事を作って稼いでみる
今の給料がどれくらいの価値があるのかを客観視するために、自分一人で仕事を作って稼いでみましょう。いざ、キャリアチェンジ!というときに、数万円でも会社に頼らずに稼いだ経験があると、思い切りよく新しい世界に飛び込むことができます。
現代はインターネットを使って稼ぐ方法がたくさんありますが、◯◯を買わないとできない、◯◯を知らないと稼げない、なんて情報は極端すぎて、言い過ぎてる可能性が高いです。
ラッキーなことに、インターネットに関わるほとんどのことは無料で実現できるように、先人たちが環境を整えてくれてます。まずはお金のかからない範囲で挑戦して、もっとやりたい!と確信を持てたらそこからお金を使うぐらいでちょうど良いです。
市場価値を確かめてみる
今の会社でいいのか悩んでいる時は「良さそうな会社やポジションがあったら転職を考えたい」と思います。ただ、良さそうな会社が自分のことを採用してくれるかは別ですよね。もしかしたら、思っていたより市場価値が低いかも(高いかも)しれません。
評価を決めるのは自分ではなく他人なので、スカウト型の転職サイトで企業からスカウトがくるか待ってみたり、転職エージェントにどんな仕事なら紹介できるか聞いてみましょう。
旅行好きで仕事と旅行を両立したい場合は、旅人採用を選ぶ、他業種からWeb業界に転職を考えている場合は、ワークポートを選ぶ、など転職支援のサービスを選んで使うのが、希望にそって正しく市場価値を測るコツです。
最後に:未来がどうなるか分からないから、現実を積み上げる
4年半の総論としては、会社を辞めて起業したことが今のところうまくいってるけど、今後どうなるのかは分からないなということです。全力で頑張っても失敗することもあるし、そこそこで成功することもあります。
将来の心配にエネルギーを使うのではなく、今できることに集中した方がストレス少なく過ごせるので、自分で決めたルールを守りつつ淡々とやるべきことを積み上げるのがベストかなと思いました。
今回の記事は以上です。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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