ミスの少ない文章を書きたい人のために、文章を校正する際のチェックポイントをまとめました。Webメディアの編集長として2000記事以上を校正してきた経験を元にしています。
なお、記事の添削は執筆→編集→校閲→校正という順番でチェックされます。編集視点でのポイントが知りたい方は下記の記事をご覧ください。
月間500万PVのWebメディアで編集長を務めていた中で、記事添削でいつも見るポイントはいつも同じでした。ネット上にはライター視点の記事は多くても、編集視点は少ないです。記事を提出する前に、リストを見ながらチェックすれば、編集からの[…]
- 1 とにかく「正しい日本語」の基準が欲しい
- 2 文章添削(校正)のチェックポイント一覧
- 3 誤字・脱字はないか?
- 4 漢字表記・同音異義語の間違いはないか?
- 5 漢字の送り仮名の間違いはないか?
- 6 助詞や「てにをは」の誤りはないか?
- 7 文体が統一されているか?
- 8 同じ文末表現を繰り返していないか?
- 9 伝聞表現ばかりにしていないか?
- 10 英数字の半角・全角は統一されているか?
- 11 約物の半角・全角は統一されているか?
- 12 漢字の閉じ開きは記事内で統一されているか?
- 13 機種依存文字の有無や利用方法は適切か?
- 14 改行・段落分けは適切か?
- 15 一文の長さは適切か?
- 16 尊敬語・謙譲語・丁寧語は正しく使っているか?
- 17 字面の黒さや白さは問題ないか?
- 18 冗長表現はないか?
- 19 二重否定はないか?
- 20 差別語・不快語はないか?
- 21 2000記事を校正した編集長による校正のチェックポイント | まとめ
とにかく「正しい日本語」の基準が欲しい
言語は移り変わっていくもので、使われる場面によっても違うので、完璧に正しい日本語というのは存在しません。ただ、かなり正しい日本語を書きたいなら「記者ハンドブック」が助けになります。
◆主な内容
時差表
年齢早見表
記事の書き方
◆新聞漢字・仮名遣い
漢字表/表外漢字字体表
人名用漢字/現代仮名遣い
「ぢ」「じ」、「づ」「ず」の使い分け
送り仮名の付け方
◆書き方の基本
用字について(漢字・平仮名・片仮名使用、学術用語、動植物名)
用語について(句読点、引用符など)
◆用字用語集
用字用語集
誤りやすい語句
差別語、不快用語
◆記事のフォーム
日時・地名・人名・年齢の書き方
数字の書き方
運動記事の書き方/皇室用語
◆資料編
全国の市名・町名
紛らわしい地名、社名、法令関連用語
病名・身体諸器官の表記
年号・西暦対照表
外来語・片仮名語用例集
運動用語仮名表記
外国地名一覧/新聞略語集
主な計測単位と種類
世界のメディア
書き手が迷うポイントをカバーしているので、一家に一冊あると不意に困った場面で安心です。
文章添削(校正)のチェックポイント一覧
まとめて読みたい方に向けて、校正のチェックポイント一覧です。
・漢字表記や同音異義語の間違いはないか?
・漢字の送り仮名の間違いはないか?
・助詞や「てにをは」の誤りはないか?
・文体が統一されているか?
・同じ文末表現を繰り返していないか?
・伝聞表現ばかりにしていないか?
・英数字の半角・全角は統一されているか?
・約物の半角・全角は統一されているか?
・漢字の閉じ開きは記事内で統一されているか?
・機種依存文字の有無や利用方法は適切か?
・改行・段落分けは適切か?
・一文の長さは適切か?
・尊敬語・謙譲語・丁寧語は正しく使っているか?
・字面の黒さや白さは問題ないか?
・冗長表現はないか?
・二重否定はないか?
・差別語・不快語はないか?
誤字・脱字はないか?
誤字・脱字はライターと編集・校正担当でダブルチェックをしてゼロに近づけます。最も丁寧な誤字・脱字の探し方は、音読です。
文章にミスがあると正しく読み上げることができないので、音読すれば必ず誤字・脱字を見つけることができます。
漢字表記・同音異義語の間違いはないか?
意外と以外、関心と感心、好意と厚意などの同音異義語の間違いがないか、慎重にチェックします。日本語って難しいです。
漢字の送り仮名の間違いはないか?
漢字の使い方は正しくても、送り仮名を間違えているケースがあります。
正解:幼い
ミス:幼ない
正解:難しい
ミス:難かしい
基本は予測変換に出てくる送り仮名を使えばOKです。
助詞や「てにをは」の誤りはないか?
「てにをは」とは、 助詞の総称を表す言葉で、文章のニュアンスをフォローする役割なので、かなり繊細です。文章の意味合いや前後の文脈を踏まえて、チェックします。
文体が統一されているか?
「ですます」調と「だ・である」調が混在しないようにします。
同じ文末表現を繰り返していないか?
文体が統一されていても、同じ文末表現を繰り返していると、読み手に安っぽい印象を与えてしまいます。
意味 | ですます調 | だ・である調 |
---|---|---|
断定 | 〜です 〜ます | 〜だ 〜である |
推量 | 〜でしょう | 〜だろう |
疑問 | 〜でしょうか | 〜だろうか |
可能性 | 〜かもしれません | 〜かもしれない |
伝聞 | 〜だそうです | 〜そうだ |
主な文末表現は表の通りですが、加えて体言止めや形容詞止め、倒置法などもあります。
文章を書くとき、語尾に迷うことありませんか?である調は語尾をバラしやすいですが、ですます調はつい単調になりがち。読み心地…
伝聞表現ばかりにしていないか?
文末表現で特に注意すべきは、伝聞表現の使いすぎです。
確かに、取材先について調べたことや聞いたことは伝聞表現で記述するのが正しい使い方ですが、あまりに伝聞が多いと「内容について自信がない」ような印象を与えてしまいます。
英数字の半角・全角は統一されているか?
文章の掲載先ごとに決まっている英数字の半角・全角ルールを守っているか確認します。
Webライティングでは「英数字は半角で表記」となっている場合が多いですね。当ブログでも半角です。
約物の半角・全角は統一されているか?
約物とは元々は印刷用語で、文字や数字以外の記号を総称します。具体的には、句読点・かっこ類・感嘆符(!や?)などです。
これらは全角と半角が用意されているケースが多く、掲載先によって定められたルールに従います。例えば、こんな感じです。
- 「!?」「?!」は半角。文末使用時は後ろに半角をあける
- 「!」「?」は全角。文末使用時は後ろに半角をあける
漢字の閉じ開きは記事内で統一されているか?
ひらがなを漢字にすることを「閉じる」。漢字をひらがなにすることを「開く」と表現します。
漢字か?ひらがなか?厳密に正解はないのですが、一般的な目安は下記になります。
- 補助動詞は開く(例:お金を頂く→お金をいただく)
- 一般的ではない漢字は開く(例:予め→あらかじめ)
- 難しい漢字は開く(例:爬虫類→は虫類)
機種依存文字の有無や利用方法は適切か?
♡や①などの機種依存文字は「文字化けするので使わないように」と言われていましたが、現代では解決されつつあります。
ただ、慣習的に現在でも機種依存文字は使わないとのが一般的なライターの作法です。
改行・段落分けは適切か?
一般的には文章の終わりで改行し、意味のまとまりで段落を分けます。しかし、Webライティングの場合はスマホで文章を読む人が増えてきたため、「スマホで見た時に適切な改行か?」に注意が必要です。
一文の長さは適切か?
句点(。)までの文字数が多いほど、読者の負担になります。文章が長くなりすぎたら、一文を句点で二文以上に分けるか、表現を変えて短縮します。
尊敬語・謙譲語・丁寧語は正しく使っているか?
文章に尊敬語や謙譲語を使用しすぎると、分かりにくくなります。
→参加費はできるだけ安くしましょう
→場面別に紹介しました。
尊敬語や謙譲語を使わずとも、動詞や名詞で書き換えられるのであれば、表現を変更することもありです。
字面の黒さや白さは問題ないか?
文章に漢字が多いことを「黒い」。ひらがなが多いことを「白い」と言います。
黒いか白いかを決める漢字の使用率は一般的には20〜30%が目安です。金融や医療など専門用語が多い文章は漢字使用率は高くなりがちですし、ファッションや芸能などの文章は漢字を少なめにします。
冗長表現はないか?
〜というものです → 〜です
〜ということです → 〜です
これらは冗長表現と言われ、短縮した方が文章が読みやすくなります。
二重否定はないか?
〜しないとも限らない → 〜かもしれない
〜ない〜ないと否定が繰り返された表現「二重否定」は「肯定」か「可能性」の表現に変えます。
差別語・不快語はないか?
ライターが意図せずに差別語や不快語を使っていないかのチェックも校正の重要な仕事です。
2000記事を校正した編集長による校正のチェックポイント | まとめ
校正のチェックポイントは以上です。本記事ではミスのないライティングがテーマでしたが、さらに上の「分かりやすいライティング技術」に関しては、下記の記事をご覧ください。
「真面目にライティングをしているのに、良い文章、良い記事にならない」と悩む方向けにチェックリストを作成しました。文章の表現や文法だけではなく、企画や構造に問題がある場合もあるので、チェックリストを上から下へ読み進めてください。&nb[…]
スキルと仕事を組み合わせて「何者か」になるスラッシュワーカーズ
自由に自分らしく働くためには「スペシャリストになるしかない」と思っていませんか?それは間違いです。会社の寿命が短く、人間の寿命が長くなる中、1つの仕事だけで人生を支えることは難しくなりました。
これからは好奇心旺盛で飽きっぽく、器用貧乏でゼネラリストが必要とされる時代です。複数の職種を同時並行するスラッシュワーカーが増えています。
仕事の数が多いことはコロナ禍のような危機に強く、嫌になったら辞められる自由が手に入ります。これからの働き方を先取りしてみませんか?