仕事選びの思い込みからこれまでの1人=1社=1職から離れて、1人10職で生きていくスラッシュキャリア・スラッシュワークという働き方を提唱しています。
まずは、なぜスラッシュワークなのか?を社会の動きから説明しますが、すでに複業の必要性を感じている人は「筆者のスラッシュワークぶり」の目次から見ていただければ大丈夫です。
会社の寿命は社会人としての寿命より圧倒的に短い
まず、事実として会社の平均寿命は23.5年です(参考:ダイヤモンド・オンライン)。社会に出て働く期間は大卒なら22歳から65歳までの44年間ですから、平均的な寿命の会社に勤めていたとしても、最低でも2社での勤務を経験しています。
アメリカでは、すでに会社の寿命が15年になっていて(参考:Btrax)、時代が激しく変動するほど、多くの事業やサービスが生まれて、多くの会社が無くなります。
つまり、新卒で入社した会社で最後まで勤め上げるという働き方は、珍しい働き方になってしまいました。良いか悪いかではなく、現実的に難しいです。
寿命は伸びている
会社の寿命は短いのに、人間の寿命は伸びています。
2010年時点で日本人の平均寿命は男性が79歳、女性が86歳で、今後も平均寿命は延びると予想されています。2060年には男性が84歳、女性が90歳になる想定です(平均寿命の推移 – 内閣府)。
医療が発達して、寿命が伸びるということは健康的に働ける時間が伸びるかもしれません。「そんなに長く働きたくないよ!」という人でも、年金受給のタイミングが現在より遅れたら、その分は働かなくてはいけない人がほとんどでしょう。
ということは、これまでよりも1つの仕事、1つの会社で働き続けることがさらに難しくなります。
技術の発展が激しく、産業構造が頻繁に変化している
今さら言うまでもないですが、技術が進歩するスピードは加速しています。例えば、こんな感じです。
- アポロ11号(1969年)で使用されたコンピューターよりも、現在の電卓の方が優れている
- 1949年のコンピューターは重さ30トン
技術が発展するということは、現在の仕事が機械やシステム、ロボットなどに代わられる可能性が高いとも言えます。自動運転が発展すれば人間のタクシー運転手が必要なくなるかもしれませんし、そもそも電車はすでに一部が自動化してますよね(例:ゆりかもめ)。
会社務めではない、フリーランスや自営業の人も、1つの職業に依存する危険が高まっています。
結論:スラッシュワーカーが最強の選択
これまでの状況を踏まえて、1人で複数の仕事を持つスラッシュワーカーが現代では最強の選択です。
筆者のスラッシュワークぶり
筆者のスラッシュワーク歴は4年。仕事は下記の10種類です。
- Webメディア編集長
- ブロガー
- トラベルライター
- ラジオパーソナリティ
- Webマーケティングのコンサルタント
- Webディレクター
- YouTubeディレクター
- 動画編集者
- 講座運営
- イベント登壇
月収は100万円ぐらい。本当は1つの仕事で月に10万円を稼いで、10万円×10職種 = 月収100万円が理想ですが、実態は仕事によって収入がバラバラです。要改善。
1人1職の時代は終わりました。これからは、1人10職です。そもそも、江戸時代までは人々のほとんどが百姓で、現代日本で言うところの兼業農家でした。 専門家が生まれ始めたのは産業革命以後の話で、人類の歴史の中で[…]
スラッシュワークできない人は公務員
万能感があるスラッシュワークですが、公務員の人は残念ながら不可能です。公務員の副業は法律で禁止されているから(地方公務員法38条・国家公務員法104条)です。
ただし、不動産賃貸業、家業の手伝い、資産運用、NPOやNGOでの活動などは認められていたり、新たに認められる場合があります。公務員を続けながらスラッシュワークしたい人は限られた職業を駆使して成立させましょう。
現在においては、完全にスラッシュワーク不可ではないのが救いです。
スラッシュワーカーになる手順
これからスラッシュワーカーを目指す人は下記の手順を進めてください。いきなり仕事、具体的な案件やプロジェクトを探す人がいますが、スラッシュワークは急がば回れ、です。
- 人生に必要なお金を計算する
- スラッシュワークする仕事を知る、選ぶ
- 仕事に必要な技術を身につける
- 案件を見つける
- 次のスラッシュワークを探す
それぞれの手順の詳細は「初めてのスラッシュワーカー準備講座」にまとめましたが、少なくとも「人生に必要なお金の計算」は必須です。スラッシュワークのスタート時がとても大変なので、いくら稼げばゴールなのか?スラッシュワークでゴールに近づけるのか?が分かっていないと、心が折れます。
メリット
スラッシュワーカーのメリットは、選択の自由があることです。選ぶ力があることは非常に強く、1つの仕事しか持っていないと仕事内容やクライアント、上司、同僚を選ぶことができません。会社員はまさにこのケースですよね。
選択の自由を持っていれば、
- 好きなことを仕事にできる
- 1つの仕事に飽きてきたら、スッと辞められる
- 収入を分散するから、危機に強くなる
というメリットがあります。
デメリット
スラッシュワーカーのデメリットは、「職人」と呼ばれる人たちに勝てないことです。人生をかけて、1つの仕事に打ち込んできた人は、その分野において圧倒的な有利があります。
そのため、スラッシュワーカーは複数の仕事を組み合わせる、選ぶことで、職人たちとはぶつからないように戦場を選ぶ必要があります。
スラッシュワーカーとして、複数の仕事を同時並行する働き方を続けて4年になりました。現在のスラッシュワークは合計10職。1つの仕事で毎月10万円を稼いで、10職×10万円=月収100万円となるのを理想として、仕事を増やしたり減らしたり[…]
スラッシュキャリアは不安定な世界を生き抜く最強の戦略 | まとめ
スラッシュキャリアについての紹介は以上です。ただ、長く続く伝統工芸の職人や日本古来の芸事(歌舞伎や能など)に関係している場合は、スラッシュキャリアはいりません。
それらの仕事は、文化と歴史を守るために保護され、伝承できる人が限られているからです。
いわゆる特殊な業界以外で働く99%の人は複数の仕事を同時並行して生き残りましょう。
スキルと仕事を組み合わせて「何者か」になるスラッシュワーカーズ
自由に自分らしく働くためには「スペシャリストになるしかない」と思っていませんか?それは間違いです。会社の寿命が短く、人間の寿命が長くなる中、1つの仕事だけで人生を支えることは難しくなりました。
これからは好奇心旺盛で飽きっぽく、器用貧乏でゼネラリストが必要とされる時代です。複数の職種を同時並行するスラッシュワーカーが増えています。
仕事の数が多いことはコロナ禍のような危機に強く、嫌になったら辞められる自由が手に入ります。これからの働き方を先取りしてみませんか?