宇宙に関わる民間企業として広く知られるSpaceX、Blue Origin、Virgin Galacticの3社が設立されたのが2000年から2004年。これまではNASAやJAXAのような公的機関のものだった宇宙旅行が約20年の開発期間を経て、実現間近になりました。
2019年の宇宙旅行シーンはBlue Originが自社初となる宇宙旅行を年内に実現すると発表し、Virgin Galacticは2月に人間を乗せたテストフライトに成功しています。
また、2018年9月に発表された、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の前澤友作社長が乗船する月旅行も話題になりました。
Hanging out with @yousuck2020 before the @SpaceX moon mission announcement pic.twitter.com/RTOwutzMtG
— Elon Musk (@elonmusk) 2018年9月18日
月旅行ロケットの打ち上げはSpaceXにより2023年と発表されていて、2019年、2020年にテストフライトが予定されています。そこで、本記事では2019年以降に実現される宇宙旅行の未来を解説します。
弾丸飛行(サブオービタル)での宇宙旅行の実現(2019年予定)
2019年にはBlue Originが宇宙旅行を実現すると発表、ライバル企業であるVirgin Galacticも2019年2月に人間を乗せたテストフライトに成功していますから、近年での実現はほぼ確実です。値段は2000万円〜3000万円程度です。
なお、日本初の有人宇宙飛行の実現を目指すスペースウォーカーは宇宙旅行の実現を2027年と予定しています。
世界最高の起業家と呼ばれるイーロン・マスク氏が率いるSpaceXや元ライブドア社長で実業家の堀江貴文氏が出資するインターステラテクノロジズなど一般企業によるロケット開発が盛り上がりを見せています。ファッション通販サイト「ZOZOTO[…]
国際宇宙ステーションへの旅行(2001年に実現済み)
実は2001年にアメリカの実業家デニス・チトーによって国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙旅行が実現し、民間人は7人がISSを訪問しています。ロシア宇宙庁による協力の元、ソユーズ宇宙船を使った宇宙旅行でしたが、ボーイングが開発するスターライナー宇宙船を利用したプランも発表しています。
また、2019年5月にはビゲロー・スペース・オペレーションズがSpaceXのクルードラゴン宇宙船を利用して2020年以降に4名がISSに滞在する計画を発表(*1)していて、搭乗費用は5200万ドル(約56億円)。
*1 ISS宇宙旅行、スペースX・ビゲローから開始。NASA価格より割安(秋山文野) – 個人 – Yahoo!ニュース
宇宙ホテルの実現(2022年予定)
ISSの他に宇宙旅行者が滞在する場所として、宇宙ホテルの構想があります。アメリカテキサス州にあるオライオン・スパンは2021年までに宇宙ホテル「オーロラ・ステーション」を打ち上げ、2022年から宿泊客を受け入れる計画です。
値段は1泊79万ドル(約8700万円)、最大で6名(クルー2名を含む)が12日間宿泊できます。
月周回旅行(2023年予定)
ZOZOTOWNの前澤社長が乗船する月周回旅行の打ち上げはSpaceXにより2023年と発表されています。搭乗するビッグ・ファルコン・ロケットは月だけでなく、国際宇宙ステーションや火星にも向かうことができるという宇宙船になる予定で、SpaceX代表のイーロン・マスクが開発費用を50億ドル(5600億円)と推定する巨大プロジェクトです。
月面旅行(2030年頃)
月を周回する旅行ではなく、アポロ時代の宇宙飛行士のように月面に降り立つことができる月面旅行の実現は2030年頃の実現になると予想します。鍵となるのは、トランプ政権が打ち出したアルテミス計画です。
アポロ計画以来、半世紀ぶりにスタートしたアルテミス計画では2024年までに月面着陸や月を周回する基地「月軌道プラットフォーム・ゲートウェイ」を建設、継続的な月調査を進めながら、2030年代は有人火星探査を目指すという壮大な計画です。
月への着陸船の開発や着陸船をゲートウェイまで運ぶロケットは民間が開発する予定なので、アルテミス計画が実現されれば、宇宙飛行士に続いて民間人が月面旅行をすることも可能になります。
火星旅行(2050年頃)
火星移住計画の実現を目標に掲げるイーロン・マスクは「2050年までには自給自足できる都市を火星に建設できる」と発言しています。
It’s possible to make a self-sustaining city on Mars by 2050, if we start in 5 years & take 10 orbital synchronizations
— Elon Musk (@elonmusk) 2019年3月25日
火星旅行における技術的な課題は様々ですが、1つは地球に帰る方法をどうするかです。火星の重力は地球の3分の1ですが、それでもロケットを打ち上げる燃料や打ち上げを管制するシステムは必要です。
2019年1月に破産してしまいましたが(*2)、火星への移住者100人を公募した「Mars One」による計画も火星へは片道切符の旅でした。
*2 火星への片道プログラム「Mars One計画」、無念の破産 | ギズモード・ジャパン
気球型の宇宙旅行の実現(2022年〜2023年頃)
photo by World View Enterprises
World View Enterprisesはロケットやスペースプレーンではなく、高高度気球での宇宙旅行の実現を目指しています。気球型宇宙旅行の特徴は、高度が30km〜40kmの成層圏に数時間滞在(弾丸飛行は高度100kmに数分間の滞在)でき、値段が弾丸飛行と比べて3分の1、約814万円程度になることです。
2017年6月の実験では新型気球「Stratollites」が成層圏で27時間滞空することに成功(*3)しているので、2-3年内にサービスがスタートできそうです。
*3 World Viewの新型気球、成層圏で27時間滞空に成功――地表観測、有人飛行などに活用へ | TechCrunch Japan
まとめ
宇宙旅行の未来についての解説は以上です。すでに高度100km〜400km(国際宇宙ステーションの軌道)までの宇宙旅行は実現済み、または実現目前です。月旅行は5年以内に実施される具体的な計画があり、月面旅行は2030年頃、火星旅行は2050年頃の実現が予想されています。
また、宇宙旅行が身近になっていくほど、ロケットやスペースシップでの宇宙旅行ではなく気球型での宇宙旅行が考案されているように、様々な宇宙旅行が生まれ、海外旅行のように宇宙旅行が当たり前になる未来が来ることでしょう。
スキルと仕事を組み合わせて「何者か」になるスラッシュワーカーズ
自由に自分らしく働くためには「スペシャリストになるしかない」と思っていませんか?それは間違いです。会社の寿命が短く、人間の寿命が長くなる中、1つの仕事だけで人生を支えることは難しくなりました。
これからは好奇心旺盛で飽きっぽく、器用貧乏でゼネラリストが必要とされる時代です。複数の職種を同時並行するスラッシュワーカーが増えています。
仕事の数が多いことはコロナ禍のような危機に強く、嫌になったら辞められる自由が手に入ります。これからの働き方を先取りしてみませんか?