Webメディアを立ち上げる、またはリニューアルする際はWebメディアの目的をバッチリ定めておかないと空中分解します。2019年はオウンドメディアが次々に閉鎖したこともあり(一方で、始まったメディアもある)、2020年以降にWebメディアをスタートする際には慎重になるはず。
「みんなのごはん」「フミナーズ」「Rettyグルメニュース」――。企業のマーケティング手法として注目を集めた「オウンドメ…
そこで、Webメディアの目的設定をサポートする記事を書き起こしました。新人のWebメディア担当者・関係者は下記の記事と合わせて一読いただけると、将来の後悔を減らせます!
「お前、来月からWebメディアの担当な」って無茶振りされた人や新しい組織に入って「じゃあ、Webメディアやってもらうから」とほぼワンオペになった場合に、まずは知っておくべきWebメディア運営の心構えを紹介します。Webメディアを中長[…]
目的設定=期待値コントロールで悲しい事件を回避する
全員の意識を多くても3つ程度のWebメディアの目的に揃えることを怠ると、ちゃぶ台返しが発生します。決裁者(大体が上司か社長)に「え?僕が思ってたWebメディアの目的と違うんだけど?」とあとから言われることほど、悲しい事件はありません。
Webメディアの目的をヒアリングする際に慣れていない関係者が多いと、「Webメディアの目的は認知と売り上げとブランディング全部だよ」っていう0点の回答が出てきますので、「全部は分かったので、一番重要なものはどれですか?私はこれだと思うのですが」と食い下がりましょう。
Webメディアの三大目的
Webメディアの代表的な目的は下記の3つ。
- 競合会社の運営するWebメディアより大きな規模 or よりクオリティが高いメディアを作りたい(Webメディア収益型)
- 既存のWebマーケティングに加えて、Webメディアでも売り上げを作りたい・サービスの利用者数を増やしたい(本業ブースト型)
- 自社の採用に繋げたい(採用型)
ヒアリングではもっと抽象的な答えが多いので、「お金やリソースをかけてでも本当に達成したいもの」と「できれば達成したいもの」と「その場のノリで答えたもの」に丁寧に分類しながら確認していきましょう。
代表的なWebメディア・オウンドメディアの目的別の分類
まだイメージがつかない人向けに、代表的なWebメディア・オウンドメディアを目的別に分類します。
- Webメディア収益型:キナリノ、withnews
- 本業ブースト型:LIG、ferret
- 採用型:サイボウズ式、メルカン
目的が異なれば、目標となる数字(KPI)も大きく変わります。
- Webメディア収益型→UU数、PV数
- 本業ブースト型→問い合わせ数、資料ダウンロード数
- 採用型→SNSでの言及数、採用応募数
Webマーケティングを学ぶにあたって、3つの計算式と3種類の指標の見つけ方、を覚えておけば基礎は十分です。ぼくの前職はWeb系の広告代理店でしたが、KGI、KSF、KPIと呼ばれる指標を聞かない日はなかったです。ちなみに現職は旅行系のベンチ[…]
目的が異なる→目標が異なる→Webメディアでやることも異なる、です。それでは、次にWebメディアの目的ごとに、失敗例や考えるべきことを共有します。
「Webメディアで収益を作りたい」「競合よりも大きなWebメディアを作りたい」の注意点
競合を意識したメディア運営の場合、分析と調査が必須です。「競合メディアが100万PVなので、100万PV以上のメディアを作りたい」とと言われて、調査したら実際は30万PV程度だった(様々な方法でPVの水増しをしていたので、実態がなかった)ということがありました。
収益のあるWebメディアの作り方は、まずリソース(予算・人員)を確認。予算か人員のどちらかがあれば何とかなりますが、予算も人員もなければ、下記の記事を読んでください。茨の道ですが、やるしかない。
「Webメディアで本業を伸ばしたい」の注意点
新たに「本業を伸ばす」という目的でWebメディアをはじめる場合は、リスティングやアフィリエイト、SNS広告など主要な手段をやり尽くした上で、さらなる施策としてWebメディアに期待している状態です。
変化球として既存のWeb広告の予算を、Webメディアを伸ばすことで減らしていきたいという場合がありますが、Webメディアはタダではないので「期待値、高すぎない?」と注意が必要です。
他のWeb施策をせずにいきなりWebメディアを主力として考えているなら、先にリスティング広告やSNS広告などをオススメします。結果も早く出ますし、広告運用の方が体制を作るのも簡単です。
Webメディアで売り上げを作る、いわゆるコンテンツマーケティングは今のトレンドです。しかし、現実はユーザーに価値のあるコンテンツを出しつつ、自社商品やサービスのPRをするというバランスが求められます。
ユーザーと会社の板挟みにならないように、売り上げを作るために必要なPVやユーザー数を算出しながら話を進めましょう。
まとまった売り上げを確保できるユーザー数を集めるためには、そこそこ規模のWebメディアが必要になることが分かるはずです。目的を明確にしたことで、話が具体化してきたら良い傾向です。
「Webメディアで採用をしたい」の注意点
Webメディアを使って採用を増するためには、社風や社内メンバーの様子を魅力的に見せますが、日記ではなく読み物として成立させる必要があります。
メルカリのWebメディア「メルカン」を見ると、多数の社員が関わっていることが分かります。「自社メディアを運営しているのに、社員が全然手伝ってくれない」というのはよく失敗パターン。広報活動でも同様の悲鳴を聞きます。
社員を巻き込むためには、スキル面よりもモチベーション面でのサポートが有効です。
- 記事執筆や出演のハードルを、ガッツリ下げる
- 書いてくれた人は褒めて伸ばす
- ユーザーから記事にフィードバックがあったら、伝える
特に、最初期に協力してくれた社員(ファーストペンギン)を大切にしましょう。初期メンバーが活躍すると、フォロワーたちがついてきます。
Webメディアの三大目的を知り、期待値をコントロールする手順 | まとめ
Webメディア運営において、より重要度が高い目的を探りながら、そして時には自社の内情を踏まえて担当者となったあなたが提案をしながら、目的をすり合わせます。
気を遣う仕事ですが、少なくとも関係者が一丸となるために、ゴールは明確に、言語化しましょう。