若者の旅行離れ、ウソでした。若者・20代の海外旅行動向に関する統計データを調べていて分かったことです。現在は省庁や統計機関がインターネット上にもデータを掲載しているので調べれば分かる!はずですが、データの切り取り方や比較の方法によっては都合の良い方法に見せることができてしまいます。
データの読み方についてはベストセラーになった「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」が入門書として最適です。データがある=安心ではないので、騙されないように。
若者の海外旅行動向に関する統計・データ
本題の若者の海外旅行動向に関する統計・データは下記のサイトやPDF資料が参考になります。
- 若者旅行振興について / 観光庁(PDF)
- 若者のアウトバウンド活性化に関する最終とりまとめ(参考資料) / 国土交通省・観光庁(PDF)
- 旅券統計 / 外務省
- 人口推計 / 総務省統計局
- 出入国管理統計年報 / 法務省
元データはこれらですが、データを読んで分かったことも合わせてご紹介します。
データで分かった若者の海外旅行動向
まず、人口が減少している
- そもそも、若者人口(20代)は減少している
- 1996年(1900万人)と2017年(1252万人)で20代人口は648万人減っている
まず、少子高齢化に伴って、若者(20代)の人口自体が大きく減っています。総務省統計局が発表している「人口推計」によると1996年と2017年では648万人も減少していることが分かります。
若者の出国数も減少している
- 若者の出国数が減少している
- 1996年(463万人)と2017年(305万人)で20代の出国数は158万人減っている
法務省が発行している「出入国管理統計年報」では出国数の統計が確認できます。出国数とは日本人が日本を出国した数であり、1人が10回出国したら出国数は10と数えるので、日本人の海外渡航回数(旅行や出張を含む)と言えるでしょう。
出国数は1996年と2017年で158万人減少しているため、若者の海外渡航回数が減っている、というのは真実です。
出国率は増加している
- 出国率(出国数 / 人口)で考えた場合、若者は旅行離れしていない
- 出国率は1996年(24.3%)、2017年(24.3%)で同数
若者の人口自体が減っているのだから、「若者の旅行離れ」を出国数ではなく、出国率で考えた場合、90年代で出国率がピークだった1996年と、2017年は出国率が24.3%で同数です。
他の年を見ても、イラク戦争やSARSが話題になった2003年は出国率が16.2%。リーマンショックが起こった2008年は18.4%と低くなっていますが、2010年以降は20%を切ることはなく1994年から2001年と同水準以上です。
20代のパスポート所有率は30代や40代より高い
- 20代のパスポート所有率は2018年時点で20.8%で、30代(13.8%)や40代(14.4%)を大きく引き離しています
- ちなみに、日本人のパスポート所有率は23.4%
出国数ではなく、パスポート所有率に注目しても20代は30代や40代よりもパスポート所有率は高いです。このことからも、若者の旅行離れは間違いだと分かります。
記事のまとめ
若者の海外旅行動向に関する統計・データまとめは以上です。事実ではないとわかった上で、「旅行離れ」を喧伝していた理由があまり分からないのですが、キャッチーだからという理由でしょうかね。
いずれにしても、ちゃんと元データを確認して自分で判断すべきだと改めて感じた事例でした。
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