災害や紛争・テロなどで観光客が減少した場所を旅行して盛り上げる「復興トラベル」の千葉県・金谷編を開催しました!
復興トラベルとは?
復興トラベルは災害などで観光客が減った旅行地を支援するためのプログラムです。
何かしら被災地への支援はしたい、でも何ができるか分からない。旅行は好きだけど、被災地の迷惑になったら申し訳ないなぁ。でも何かしたい!
という旅行好きの方を誘って、現地の状況や観光の様子を発信します。
これまでの復興トラベル
第1回:復興トラベル岡山「旅行好きらしい復興支援を」
第2回:復興トラベル台湾「僕たちは旅をすることしかできないけれど」
これまでに復興トラベルは岡山の倉敷と、台湾東部の宜蘭で開催しました。詳細はそれぞれのリンクからご覧ください。それでは、本題です。復興トラベル金谷の開催レポート、どうぞ。
復興トラベル金谷レポート
浜金谷駅に到着
都内から電車を乗り継いで2時間半、JR浜金谷駅に到着しました。駅の周囲を見る限りでは台風の被害は見受けられません。
今回の復興トラベルのメンバーと合流して、ひとまず金谷の街を歩きます。
吹き飛ばされた屋根
復興トラベル金谷を共同開催した池ちゃんが運営していたシェアハウスの「おあしす」は台風15号で二階の屋根が吹き飛んだため営業停止。
一階部分は無事でしたが、二階から吹き込んだ雨で壁や屋根の資材が溶け出してしまい、中に入るのも危険な状態でした。
写真は「台風15号の日に、ちょうどこの辺に寝てたんですけど。トイレに行って戻ったら、屋根がなかったですwww」と語る、元住人のともきくん。笑えねえ。
こちらは合掌造りの古民家カフェ「えどもんず」。店長自ら入れる、こだわりのブルーマウンテンコーヒーが最高に美味しい、と教えてもらっていましたが、壊滅的な被害で現在は営業停止中です。
Facebookページによると、現時点では今後の方針は明確には発表されていませんでしたが、「必ず復興させる」というオーナーのコメント通り、先ほど近くを通ったら屋根の大部分は修復されつつありました。
金谷の名店
金谷に行ったら必ず訪れる地魚を使った回転寿司の「船主(ふなおさ)」も営業停止中でした。外観にブルーシートはかかっていましたが、大きな損傷は見られませんでした。
店内の設備などにダメージがあったのでしょうか。金谷に来るたびに訪れていたので、再開が待ち遠しい。
回転寿司「船主」や浜焼き「まるはま」などと隣接する金谷最大の商業施設「ザ・フィッシュ」には「さぁいこう!金谷」と書かれた復興ポスターがたくさん貼ってありました。
「ザ・フィッシュ」もお土産市場は営業中でしたが、レストラン施設が営業停止中でした。代わりに青空レストランとして、テントが出ていてサザエの磯焼きや寿司盛りなどが美味しそうでした。
ロープウェイで景勝地・鋸山(のこぎりやま)へ
金谷といえば、鋸山のトレッキングです。日本国内だけではなく、海外でも有名な山なので、外国人旅行者がたくさん訪れるのも金谷の特徴です。
僕たちがトレッキングした日はドイツ人の8人グループと一緒になりました。「鋸山はどれくらい時間がかかるんだい?」なんて気軽に聞いてきましたが、実は自力で上がると大人の健脚でも観光しながらで片道2時間くらいかかります。
トレッキングに慣れていない人は、行きか帰りのどちらかはロープウェイの利用をオススメします。自信がなければ両方ロープウェイでもいいくらい。
復興トラベル金谷チームは行きはロープウェイで、帰りは自力で下山することにしました。ロープウェイは15分ごとの運行です。
いっぱいになって待つことはありません。もし、車で鋸山に来ている場合は、そのまま山頂まで行くことができます(料金は普通車1,000円、駐車場は無料)。
鋸山山頂駅に到着
ロープウェイは5分ほどで、山頂駅に到着。
ロープウェイの中からは台風15号と台風19号によってなぎ倒された木々が見えました。
山頂駅からは海と山に囲まれた金谷の街が一望できます。
晴れた日はこんな感じ。復興トラベル金谷の3日後の写真です。
石切場として栄えた鋸山
鋸山(のこぎりやま)の由来は、ギザギザになった岩肌です。自然にできたものではなく、資材として大量の石が山から切り出されたことによって絶壁の岩場ができました。
石切が始まった頃はピッケル状の道具で、時代が進むとチェーンソーへの変化しますが、現在は石切は行なっていません(石切場跡は見学できる)。
地獄覗きへ
鋸山の観光名所は大きく3つ。
- 地獄覗き
- 大仏
- 石切場
すべて日本寺(にほんじ)、というお寺の敷地内にあります(拝観料:600円)。ロープウェイを使って山頂駅から鋸山観光をスタートする場合、まずは地獄覗きへ。
2019年10月下旬時点では、台風15号の影響で日本寺の一部区間(羅漢エリア)が通行止めとなっていました。通常のルートより少し遠回りにはなりますが、地獄覗き→大仏→石切場というルートで回ることができます。
こちらが地獄覗き。山頂付近にある岩場から崖が大きくせり出していて、上から見下ろすことができる、というスポットですが先端の2メートルほど手前に柵があるので、見下ろしの写真は少し迫力に欠けます。
地獄覗きの隣にある同じくせり出した部分から真横に写真を撮ると、このように全景が撮れますのでこの角度がオススメです。
なお、週末や祝日は多くのツアー客が訪れて、地獄待ちの列ができます。じっくり写真を撮りたい方は、早めの時間に訪れてください。
大仏へ
地獄覗きから長い階段を下ると、大仏(薬師瑠璃光如来・やくしるりこうにょらい)を拝むことができます。道中に台風15号の影響による倒木がありましたが、大きなものはチェーンソーで切り開かれています。
階段を30分ほど降って、大仏に到着!岩を切り出して作られた大仏は、座高21.3mで石作りの大仏としては高さ日本一(青銅製の大仏を入れると牛久大仏が日本一の120m)。
奈良の大仏が16.2m、鎌倉の大仏が10.6mですから、鎌倉大仏2人分です。
日本寺の大仏の原型は江戸時代後期(1793年)に建築されたものの、石作りのため雨風によって風化して荒廃。昭和44年(1969年)に復元され、現在の形に。
復興トラベルのメンバーで、金谷の一日でも早い復興をお祈りしました。
帰り道、しんどい。
石切場へ
大仏広場からもう一度同じ階段を登って(通行止の関係で、このルートのみでした。普段はショートカットがあります)、「房州石」と呼ばれるブランド石を切り出していた石切場へ。
高さ80mを垂直に伸びる岩肌に囲まれた石切場は、以前に音楽フェスが行われたこともあります。
岩壁に大きく刻まれた「安全第一」。
下山します!
鋸山のメジャーな観光スポットをすべて訪れることができたので、いよいよ下山します!復興トラベル金谷の前日まで少し雨が降っていたので、足元に注意です。
台風15号の影響で、大きく地滑りした山道がいくつかあったものの、歩行者のための通路は柵や看板で確保されていました。写真のあたりは以前は木々の中を歩くルートだったので、両側の大部分が崩れたことになります。
ランチはいつも行列のさすけ食堂で
写真を撮りながら、2時間ほどかけて下山しました!ランチはいつも行列ができている金谷の名店「さすけ食堂」でいただきました。
金谷は「黄金アジ」と呼ばれる脂がのって金色に光るアジを使ったお刺身やアジフライが名物です。メインメニューの「さすけ定食」なら両方を一度に食べることができるので、迷ったらこれ。
台風15号の後も、通常営業してます。
カフェ「香豆珈琲(kou’s coffee)」
移住者が増えて、古い街並みの中におしゃれなお店が増えつつある金谷。鋸山登山の疲れを癒したくて、カフェ「香豆珈琲(kou’s coffee)」に訪れました。
香ばしく焼きあがったナッツケーキとブレンドコーヒーの組み合わせが贅沢でした。
お疲れ様でした!
これで復興トラベル金谷は終了!船で帰るメンバーを見送ります。
金谷港から神奈川の久里浜までフェリー(40分間・片道800円)が出ているので、行きは電車で帰りはフェリーと交通手段を変えると楽しいです。ちなみに都心からなら電車とフェリーの所要時間はあまり変わりません。
フェリーだと時間帯が合えば美しい夕陽が見られるのが、ちょっとお得。
追記:2019年11月8日時点での営業状況
紹介したカフェやレストランの最新の営業状況をまとめておきます。
- 古民家カフェ「エドモンズ」:営業停止中
- 回転寿司「船主」:営業停止中
- 「さすけ食堂」:営業中
- 「ザ・フィッシュ」のレストラン:営業停止→営業再開!
- 香豆珈琲(kou’s coffee):営業中
個人的には「船主」の復活が待ち遠しいです。アジのお寿司食べたい…
スペシャルサンクス
#復興トラベル金谷 の写真は放浪カメラマンのケンケンさんに撮影していただきました。スペシャルサンクス!ありがとうございました。
復興トラベル参加者からの感想
参加者のヤンさんからの感想
金谷には始めて来ました。台風で被災している事は聞いていたが現状がどうなっているのが気になっていました。
のんびりした風光明媚な田舎の小さな港町は徒歩で充分な面積。街を散歩していると屋根が飛ばされた家などを見ると台風の驚異が見受けられたりもした。
しかし、カフェやピザ屋、大人気の定食屋さん等は営業を始めていたりもする。ロープウェイで山頂まで行ける鋸山に行ってみたが中々賑わっていました。この街のポテンシャルの高さを感じました。
東京から電車やフェリーで来れ山登りや釣り等のアクティビティが有り小さなカフェや東京湾直送の美味しい定食屋まで一日居ても飽きさせない魅力溢れる街でした!友達に教えたくなる街です。
参加者の飯岡さんからの感想
金谷は、のどかで美味しい街でした。
一日しか滞在できませんでしたが、海の青と山の緑に挟まれた街は、都内の雑多な雰囲気を一気に忘れさせてくれました。
鋸山の登山は運動不足な私には丁度良いくらいのアドベンチャー感があり、今も丁度良いくらいにふくらはぎが筋肉痛です。
山の中腹にある大仏は想像以上に大きく、きっとそこでお願いしたことは叶う!と確信しています…!
私は食べることも大好きなので、さすけ食堂で食べた黄金アジフライと定食のお味噌汁の味が忘れられません。アジフライは有名ですが、お味噌汁も食堂のおば様が毎回味見をしながら作っていました。
街のいたるところで台風が残した痕がありましたが、金谷がもともと持っている素敵な場所は健在です。都内から2時間程で行けるので、是非おすすめしたいです。
復興トラベル金谷を共同開催した山口くん(池ちゃん)からのメッセージ
復興トラベルをやってみて、当初考えていたブランドの改修が少なからずできたんじゃないか、と思っています。
やはり実際に見てみることで実感することがあると思い、被災の現状を知ってもらい、少しでいいので認知されていくことが復興への一歩に繋がる、と思っています。
あくまで一過性のものではなく、今後も継続的にやることで、ブランドや知名度を元通りにしていきたい、と思いました。
そして、被災地ボランティアではなくあくまで観光旅行という位置づけでやってみたことで、純粋に楽しい企画になりました。
被災がきっかけで縁が少しでも増える/深まったのなら十分にプラスなんじゃないか、と思います。
ルイスくん、復興トラベルの企画運営などありがとうございました!
池ちゃん、こちらこそ協力してもらって、ありがとうございました!報道によって生まれてしまう、現地と観光客のギャップを少しでも埋めることができていたら、とても嬉しいです。
初めて金谷を訪れた人も多く、とても楽しかった!とコメントもらいました。また、やりましょうー!
次回の復興トラベルはニュージーランド
次回は2019年3月15日に首都クライストチャーチで銃乱射事件があった、ニュージーランドで復興トラベルします。
メンバーはTABIPPOで働いている同僚の長沼、ロイの2人加えて、映像作家のTessyと僕の4人です。ニュージーランドに訪れるのは2020年3月なので、事件からちょうど1年。
初めてのニュージランドですが、できる限りのことをやってきます。
お知らせ
次の次の復興トラベル先を募集しています。海外でも、国内でも構わないので、トラベル先の関係者の方から応募があればそちらに行きます。
ご連絡はFacebookかTwitterのメッセージでいただけると反応が早いですが、メールの場合は下記にお願いします。
問い合わせ先メール:info@ruimaeda.com
スキルと仕事を組み合わせて「何者か」になるスラッシュワーカーズ
自由に自分らしく働くためには「スペシャリストになるしかない」と思っていませんか?それは間違いです。会社の寿命が短く、人間の寿命が長くなる中、1つの仕事だけで人生を支えることは難しくなりました。
これからは好奇心旺盛で飽きっぽく、器用貧乏でゼネラリストが必要とされる時代です。複数の職種を同時並行するスラッシュワーカーが増えています。
仕事の数が多いことはコロナ禍のような危機に強く、嫌になったら辞められる自由が手に入ります。これからの働き方を先取りしてみませんか?