自社と競合他社を分析して、自社にしかない強みを見つける、もしなければ競合に勝てる強みを作る、というのはマーケティングの基本です。
マーケティングを学んだことがある人なら、競合分析のためのフレームワークとして「3C分析」や「SWOT分析」などを聞いたことがあるでしょう。
いきなり競合分析に入ると失敗する理由
3CもSWOTも分析手法としては正しいですが、いきなり競合に対しての分析からスタートするとマーケティングは失敗します。理由は競合の特定が正しくないから、です。
マーケティングにおける競合とは、自社から見た場合の競合ではなく、ユーザー視点での競合を意味します。
例えば、あなたがマクドナルドの社員だった場合、自社視点ではモスバーガーやロッテリアなどが競合ですが、ユーザーの目的が「すぐに食事を済ませたい」だった場合は、吉野家や松屋などの牛丼チェーンも競合に入ります。
また、ユーザーが「とにかく安く食事をしたい」というケースは、コンビニのイートインやスーパーのお惣菜なども競合です。
ユーザーを特定→競合を特定→競合を分析
競合分析をする前にはユーザー分析が必要です。ユーザー分析の代表的な手法はペルソナ作成とカスタマージャーニーの作成で、2つが揃っているとユーザーの特定やメンバー内での共有を促進できます。
» 参考:【サンプル公開】ペルソナ作りはマーケティングに必須の技術です
» 参考:カスタマージャーニーの作り方【誰でもできる】
ペルソナとカスタマージャーニーを決めることで、ユーザーが決まり、ユーザーのニーズが決まります。ここを曖昧にすると、ニーズがいつまでも決まらず、競合も特定できないので、勇気を持ってペルソナは多くても男女1組2人まで。カスタマージャーニーも1つに決め切ってください。
よくある問題:ペルソナが決められない
チームのメンバーやプロジェクトの関係者が多くなるほど、または提供する商品やサービスのラインナップが増えるほど、ペルソナが多様になり決めきれない場合があります。
そんな時は「あくまでも仮決定で、随時見直します」という建前のもと暫定のペルソナとして作成してください。随時見直す、という点は事実でしてサービスや顧客の変化に応じてペルソナは修正していくべきです。
競合の見つけ方
ペルソナやカスタマージャーニーが決まったら、ユーザー目線での競合と自社目線での競合を考えます。ユーザー目線での競合は「もし、自社の商品やサービスがなかったら、ユーザーはどうするか?」という質問から考えます。
この際に自社と同じ業界・業種にいる競合を直接競合、業界が異なる競合を間接競合と呼びます。先ほどのマクドナルドの例の場合
直接競合:モスバーガー、ロッテリア
間接競合:コンビニ、スーパー
となります。
自社目線での競合はコトラーが提言した「競争地位の4類型」を用いて、もれなく考えます。
競争地位の4類型
競争地位の4類型では、業界内の企業をリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つに分類しています。
リーダー:市場でトップシェアを誇る企業(1社のみ)
チャレンジャー:リーダーに対抗している業界二位以下のトップ集団(2社〜3社程度)
フォロワー:リーダーを真似しながら追いかけている企業
ニッチャー:専門性を強みにし、小さな隙間市場でトップを目指す企業
» 参考:コトラーの競争地位4類型:リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの戦略 | 戦略源
例えば、旅行代理店業界はこのようになります。
リーダー:JTB
チャレンジャー:HIS、近畿日本ツーリスト、日本旅行
フォロワー:クラブツーリズム、東急トップツアーズ
ニッチャー:ユーラシア旅行社、旅工房
競合を分類しながら特定していくことで、抜けもれや見落としを防ぎます。
競合特定のフォーマット
今回、初めて作成したので改善の余地はありそうですが、ひとまず競合特定のフレームワークはこんな感じです。自社目線での競合として同業種(直接競合)について考え、ユーザー目線の競合として異業種(間接競合)を特定します。
本当の競合を見つける手法 | まとめ
本記事では「マーケティングにおいて、本当の競合を見つける手法」を解説しました。うまく競合が見つからない場合は、ユーザー理解が足りていません。
マーケティングの基本は、ユーザーが求めているものを、競合より魅力的な形で提供することですから、ユーザー理解にかけた時間は無駄になりません。
記事「Webマーケティング初心者がユーザー理解を学ぶ」にてユーザー理解について解説していますから、ユーザー理解についての経験や知識に自信がない方は下記をご覧ください。
ホットリンクでマーケターをしているムロヤさん(@rmuroya)が作成したマーケティングスキルマップの網羅性がとても高いので、マップを元にWebマーケティング初心者向けに解説記事を作りました。本記事はユーザー理解、についてです。[…]