新人Webメディア担当がまず学ぶべき9つの心構え

   

「お前、来月からWebメディアの担当な」って無茶振りされた人や新しい組織に入って「じゃあ、Webメディアやってもらうから」とほぼワンオペになった場合に、まずは知っておくべきWebメディア運営の心構えを紹介します。

Webメディアを中長期的に無理なく焦らず運用するためには、小手先のテクニックや成功事例は不要です。組織やメディアの状況によって、必要となる技術や事例は変化しますので、的確に取捨選択をしながらメディアの舵を取り、間違った時は次の方向に進路を修正できることが大切です。

 

いきなり無茶振りされて、調べてみたら膨大な記事や事例...一体何から手をつければと途方に暮れる気持ちはよくわかります。いきなり動き出す前に、状況を整理し、意思を統一し、安定して稼働できる体制を作ることから始めましょう。

運営が軌道に乗り始めるまでの産みの苦しみは大いにありますが、0→1または1→10ぐらいまでが最もクリエイティブで付加価値を作る仕事です。どんな大きなWebメディアも、0記事、ライター0人、予算0円から始まりました。

それでは、新人Webメディア担当がまず学ぶべき7つの心構え、はじまります。

 

目の前の仕事を無視しても、目的のすり合わせから始める

まずは、目の前に積み上がった大事そうな仕事を横に置いて。Webメディアの目的を関係者ですり合わせる必要があります。いわゆる期待値のコントロールという仕事です。

あなたが担当するWebメディアに関係する人たちからWebメディアに期待すること、発起人にはなぜWebメディアを立ち上げることになったのかをヒアリングしましょう。

ここで聞き取った情報をまとめて、全員の意識を多くても3つ程度のWebメディアの目的に揃えることを怠ると、決裁権を持つによる「え?僕が思ってたWebメディアの目的って○○○なんだけど?」と諸々が決まってから言われる(通称、ちゃぶ台返し)悲しい事件を引き起こします...

ちゃぶ台返しはWebメディアの運用に限らず、様々な現場で起こることですが、関係者全員が不幸になるので、担当者としては絶対に避けましょう。

 

なお、Webメディアの目的をヒアリングする際に慣れていない関係者が多いと、「Webメディアの目的は認知と売り上げとブランディング全部だよ」っていう0点の回答が出てきますので、「全部は分かったので、一番重要なものはどれですか?私はこれだと思うのですが」と食い下がりましょう。

なお、よくあるWebメディアの目的は下記になります。ヒアリングではもっと抽象的な答えが多いので、「お金やリソースをかけてでも本当に達成したいもの」と「できれば達成したいもの」と「その場のノリで答えたもの」に丁寧に分類しながら確認していきましょう。

  1. 競合会社の運営するWebメディアより大きな規模 or よりクオリティが高いメディアを作りたい
  2. 既存のWebマーケティングに加えて、Webメディアでも売り上げを作りたい・サービスの利用者数を増やしたい
  3. 自社の採用に繋げたい

 

Webメディアの目的1「競合会社の運営するWebメディアより大きな規模 or よりクオリティが高いメディアを作りたい」

こんな目的あるの!? と現場では驚きますが、割とよくあります。ソーシャルメディアのアカウント運用では、○○社が1万フォロワーなので、うちも1万フォロワーを目指したいという要望が大きな会社ほど、よく出ます。

競合を意識したメディア運営の場合、競合の細やかな分析が必須です。また、メディアとしてのクオリティではなく、メディアの規模(PVやユーザー数)などに焦点が当たっている場合は、本当にメディア規模としてベンチマークしている数字があっているのか?という調査が必要です。

以前、競合メディアが100万PVなので...と聞いたものの、調査してみたら実質30万PV程度だった(様々な方法でPVの水増しをしていたので、実態がなかった)ということがありました。

 

また、競合メディアの規模ではなく、メディアのクオリティやブランドを意識している場合は、イメージが先行し、目的として曖昧になりやすいので、競合メディアのどんなところにブランドを感じるのか聞き進めましょう。

記事の中身、ライターの知名度、編集長の知名度、メディアがイベントによく呼ばれているなど、クオリティが高いメディアにも様々な要素がありますので、掴み損ねないように。

 

Webメディアの目的2「既存のWebマーケティングに加えて、Webメディアでも売り上げを作りたい・サービスの利用者数を増やしたい」

すでにWebマーケティングの歴史があり、リスティングやアフィリエイト、SNS広告など主要な手段をやり尽くした上で、Webメディアでも売り上げを作りたい、またはサービスの利用者数を増やしたいというケースです。

変則系として既存のWeb広告の予算を、Webメディアを伸ばすことで減らしていきたいというパターンがありますが、Webメディアも決してタダではありませんので、このケースはWebメディアへの期待値が高すぎないか?と注意が必要です。

Webメディアで売り上げを作ることはもちろん可能ですが、すでにユーザーがいるところに有料で広告を出すというWeb広告と違って、ユーザーを集めるところから始まり、PRにはお金がかからないのがWebメディアですので、ユーザーを集められるまでは売り上げが立たない(コストばかりで赤字になる)という現実と全員が向き合っている必要があります。

 

お金はかけたくない、でもユーザーも集めたいという要望に応える魔法はありません。また、既存のWebマーケティングの施策と比較すると、売り上げ効率が悪くなるケースがあるので、もし他のWeb施策をせずにいきなりWebメディアを主力として考えているなら、先にリスティングやSNS広告などをオススメします。結果も早く出ますし、これらの施策の方が運用体制を整えることも簡単です。

Webメディアで売り上げを作る、いわゆるコンテンツマーケティングは今のトレンドです。実現のためには、ユーザーを集めるためのコンテンツを粛々と作る必要があります。PRしろ!告知しろ!という圧力に耐えながら。

ユーザーと会社の板挟みにならないように、Webメディアで売り上げを作るために必要なPVやユーザー数を算出しながら話を進めましょう。あてとなる数字は、これまでのWeb広告での購入率やキャンペーンの申し込み率を元にします。

まとまった売り上げを確保できるユーザー数を集めるためには、そこそこ規模のWebメディアが必要になることが分かるはずです。目的を明確にしたことで、話が具体化してきたら良い傾向です。

 

Webメディアの目的3「自社の採用に繋げたい」

売り上げを作りたい!という目的と比べれば、控えめな目的に見えますが、実はやることは同じです。Webメディアが人材採用やに繋がるには、ある程度の母数が必要とされるので、まずはユーザーが集まるメディアになるために、コンテンツ作りです。

ただし、自社の採用に結びたい場合は、より社内メンバーによる記事や顔が見える、仕事の内容、会社自体が魅力的に見える必要があります。

ただし、日記ではなく読み物として成立させる必要がありますので、僕なら業務で学んだ知識やノウハウをWebメディア上で発信する→同業や同種の人が参考に読んで、メディアのファンになる→転職先として選択肢に入るという流れを目指します。

 

Webメディア運営の目的は1~3のいずれかに分類されるはずですので、より重要度が高い目的を探りながら、そして時には自社の内情を踏まえて担当者となったあなたが提案をしながら、目的をすり合わせます。気を遣う仕事ですが、少なくとも関係者が一丸となるために、ゴールは明確、言語化しましょう。

目的が決まって明文化され、関係者に浸透したら、次は目的を達成するための方針と戦略作りです!

 

目的を達成するための方針・戦略作り

Webメディアの目的を達成するための方針や戦略作りは予算や人員、周辺環境などに左右されるので、鉄板はありません。しかし、予算の大小や人員の多寡で大きく大別はできます。

 

予算が多く、人員も多いWebメディアの場合

方針決定について心配する必要なし。おそらく、Webメディアの経験者が方針・戦略担当としてメンバーに入っていますので、その方の知見を元に最短距離を走りきれる戦略を作りましょう。

潤沢な予算と人員を生かして、クオリティを担保しつつも記事をたくさんリリースできる状況なので、王者の戦いをしましょう。

 

予算が多いが、人員が少ないWebメディアの場合

新規事業的に、Webメディアの経験がほぼない社員が担当に充てられるが、社内的には予算をつけてくれているケースは、外部のライターと連携しながら進めることになります。

予算があるぶん、コンテンツ作りには困りませんが、編集が足りなくなるので、外注で編集できる人を見つけるか、質は高いが量は少ないコンテンツで戦うことになります。

 

予算は少ないが、人員が多いWebメディアの場合

社内でWebメディアへの協力者が多い場合は、「予算はつけられないけれど、社内リソースを中心にWebメディアを運営してほしい」と言われるかもしれません。

本当に社内リソースが潤沢にあるケースは稀なので(だいたい、他の仕事に追われている)、いかに社内のメンバーに気持ちよく、短時間でコンテンツを作ってもらえるかを考えることになります。

ただし、ある程度のところで社内リソースには限度がきますので、結果が出たら予算を増やしてもらうという相談はしておきましょう。

 

予算は少なく、人員も少ないWebメディアの場合

ベンチャーから中小企業がWebメディアを開始する場合は、ないない尽くしでしょう。Webメディアの担当者が広報やPRなど他の業務を兼務していることすらあります。ハードモードです。

さあ、どうするかというと、頭で戦うしかありません。

 

担当者の知識と仮説が結果を左右する

Webメディアに関わる要素は様々ですが、会社経営や組織運営に比べると、やることは限定されます。現時点でのWebメディアは、サイトの中に記事やページがあり、記事の中にはテキストと画像、稀に動画が含まれます。

規模が大きくなれば、サーバーやデータベースなどの裏側や、アプリ連携などの外側の話も関係ありますが、100万PVまでは忘れて大丈夫です。

Webメディアを鶏とすると、記事が卵に当たります。親鳥が効率よく質の良い卵を産めるようにサポートするのが、担当者の仕事です。

 

鶏の例えが続きますが、鶏が美味しい卵をたくさん産むためには何が必要なのでしょうか?血筋や環境、えさ?わかりません。なので、きっと本を買って調べたり、先輩の養鶏家に聞きにいきます。

Webメディアも同じです。あなたが学んだ知識や教えてもらった別のメディアの実績を自分のメディアなりに実践します。勘とノリで運営しているヒマはありません。

 

十分な知識があるかどうかで、結果は全然変わります。最低限として、Ferretのカリキュラムには全て目を通してください。

Webマーケティングを体系立てて学ぶWebマーケティング講座記事

また、Webマーケティングに関する書籍を3冊、コンテンツマーケティング関して3冊、ブログ運営に関して3冊、合計9冊の書籍を買ってください。古すぎず(1~2年以内)、Amazonで10件以上の評価が付いている書籍であれば、構わないです。1冊ずつの中身ではなく、全体像をつかむことが目的です。

 

また、Twitter、Facebook、Instagramの自分用アカウントを開設してください。さらに、自分のブログを開設してください。ブログサービスは、できる限り担当するWebメディアに揃えてください。これらは自分で自由に実験できる場所を持つことが目的です。

しんどいでしょうか... しかし、Webメディアを担当するあなたが社内で圧倒的にWebメディアに詳しくなるべきポジションです。あなたのインプットの量と質に比例して、アウトプットの量と質は変化します。

 

さあ、最後に勉強会への参加です。勉強会に参加するメリットは、内容よりも同業他社とのネットワークです。Webメディア関連の勉強会は結構探しにくく、東京都内で開催されることが非常に多いので、地方での参加は苦労します。

出張や旅行とくっつけて参加できる機会を逃さずに参加するか、どうしても離れられない場合は、最新情報や人脈を持っている人と繋がるしかありません。

 

メディア運営の小手先テクニックに頼らない

書籍やサイトでWebメディアの勉強をしていると「○○でPVが10倍!」などの心惹かれる情報が出てきます。しかし、テクニックや手法論に執着せずに、「なぜ○○を実行しようと思ったのか?なぜ実行できたのか?」という背景に注目しましょう。

Web業界ではもてはやされたテクニックや手法があっという間に陳腐化します。古くなります。それよりも、手法を生み出した考え方を学びましょう。分析や挑戦の結果で、テクニックは開発されます。

 

ターゲットを誰でもわかるほど明確に

Webメディアを読んでいる人が、どんな人なのかというターゲット設定はやりすぎるほどに明確にしましょう。年齢、出身地、住所、学歴、仕事などの基礎的な情報から、趣味、考え方、交友関係、口癖などの個性までを細かく設定します。

例えば、僕が編集長を務めるTABIPPO.NETの場合は、ざっくり言えば「旅行好きの若者」がターゲットですが、メンバーによって細かい認識がズレまくっていました。

 

ターゲットにドンピシャで実在する共通の知人がいれば、もっとも良いのですがメディアに関わるライターが10人を超えた時点で、詳細なターゲット像を作成しました。ターゲットの要素は下記の11項目が含まれています。

・キャッチコピー
・名前
・顔写真
・年齢
・職業 or 大学
・会社名 or 学部
・住所
・家族形態
・エピソード(プロフィール)
・旅行経験
・人生のゴール

Webメディアコンサルでは、実際に使用している2人のターゲット「山本 愛」と「伊藤 正直(まさなお)」をお見せしながら、ターゲット設定について解説しています。

 

ライティングについては聖書3冊を読み込む

Webライターが、SEOに取り組む際に知っておくべき6つのことでも紹介しましたが、ライティングを独学だけで勉強しようとするのは効率が悪いです。書籍を購入して、プロのライターたちから文章の書き方を学びましょう。

TABIPPO編集部として、聖書として認定している文章についての本は下記の3冊です。特にこだわりがないなら、迷ったら3冊に立ち返るようにすればOKです。

 

Webメディア運営はマラソンなので、気合いがなくても運営できる体制を作る

ここまでで、目的をすり合わせ、戦略とターゲットを組み立て、勉強する大切さをお伝えしましたが、ここからは運用の話に入ります。これまでは準備段階です。

予算は少なく、人員も少ない状況でのWebメディア運営だと、ついつい担当者の気合と体力で乗り切ろうとしてしまいますが、Webメディアは早くとも数ヶ月、平均して数年は継続して効果が出る事業です。

予算があれば、お金の力で一気に走り切ることもできますが、ここまで記事を読んでいただいた方は失礼ながら予算がない方だと想像して進みます。

 

Webメディアに時間がかかる理由は「SEO」と「ライターの育成」です。SEOについては、公開した記事がGoogleに掲載され、順位が安定するまでに、新しいメディアだと2~3ヶ月かかります。

また、ライターの育成も、ほぼ素人の方をライターとして採用する場合、育成のノウハウが少ないと10~30記事程度かかりますので、月に10記事を執筆できても1~3ヶ月は見込んでおきましょう。

気合と体力で無理をしながらの運営では、SEOの進捗とライター育成の結果が出る前に潰れてしまうかもしれないので、ガツっと立ち上げをしたらルーティーンワークは自動化し、よく聞かれることはQ&Aにし、よく間違える部分はマニュアルにして、できるだけ管理コストを減らします。

 

さらに、ライターの進捗管理はGoogleのスプレッドシートやチャットツールを活用、記事の質を左右する企画とタイトルは編集会議などで集中化することで、全体をどんどん最適化します。

これらは社内のツールや組織の構造によってカスタマイズする必要がありますが、70%くらいはどのメディアであっても共通の方法でできるはずです。詳細はWebコンサルのメニューからお問い合わせください。

 

改善を前提とした体制と仕組みを作る。特に削ることに注力する

フルマラソンと例えたWebメディア運営を支える体制と仕組みは改善ありきでOKです。つまり、初めて作成した形にこだわらずに現場の声を拾いながら、どんどん変更していきましょう。

特に、Webメディアの運営歴が長くなってくると、システムやルール、マニュアルが煩雑化して、却って効率を悪くすることがよくあるので、形骸化しているルールや重複しているシステムなどは、どんどん削っていきましょう。

少なくとも半年に1度は時間を確保して、体制と仕組みの改善に取り組むべきです。TABIPPOで改善をする場合は、ライターやメンバーに「いらない、無駄だと思ったルールや仕組みを5つ教えてください」とアンケートした結果を受けて、思い切りよく古いものは捨てるようにしています。

ほんと、いつのまにかルールとマニュアルって増えてるんです...

 

予算を作るために、頭をひねって結果を出す

最後に、大切な予算・お金の話です。Webメディアの運営に限らず、何かをするには必ずお金がかかります。タダのような気がする自分の時間でさえ、会社からは給料という形でお金が支払われています。

ただし、「Webメディアをよりよくするためにお金が必要なのに、会社(組織)が予算を用意してくれない」という文句は筋違いです。そんな文句をいくら決裁者に伝えても状況は変わりません。

 

予算が必要なのであれば、まずは予算がなくてもできる方法を必死に考え、試行錯誤して、ある程度の結果を出しましょう。PVでも、記事数でも、決裁者が事前に(ここ大事)納得している指標であれば、何でも構いません。

結果を出した上で、「予算があれば、○○倍に伸ばせます」と伝えることで、初めて交渉として成立します。結果が見えていないものに、お金を出してくれるほど会社は優しくないです。基本的には。もしすでに出してくれるなら、超ラッキーなのでそれらをも無駄にせずに、次の予算をもらえるように結果を出しましょう。

なお、結果の指標については、事前に話しておくべきです。自分が頑張って出した結果が、上司や先輩とのすり合わせが少なかったせいで評価されない状況って、不幸なので。

 

まとめ

今回の記事では「新人Webメディア担当がまず学ぶべき9つの心構え」という切り口で、Webメディアの立ち上げから運用方法のコツをご紹介しました。

全体をもう一度まとめると、下記の9点が重要なポイントです。
・目の前の仕事を無視しても、目的のすり合わせから始める
・方針と戦略が必要で、予算と人員の多寡で4つに大別できる
・担当者の知識と仮説が結果を左右する
・小手先テクニックには頼らない
・ターゲットを誰でもわかるほど明確にする
・ライティングについては聖書3冊を読み込む
・気合いと体力に頼らない運営体制を作る
・改善を前提とした体制と仕組みを作る。特に削ることに注力する
・予算を作るために、頭をひねって結果を出す

それでは、また別の記事でお会いしましょう!

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